飲み物に含まれるミネラルが薬と相互作用を起こすケースがあります。
前回は硬水のマグネシウムについて取り上げましたが、今回はカルシウムを見てみましょう。
カルシウムを多く含む飲み物としてすぐに思いつくのは、やはり牛乳です。牛乳中のカルシウムとの相互作用が知られている代表的な薬といえば、抗菌薬(抗生剤)です。風邪をひいたときなどによく処方される抗生剤の中には、カルシウムと相互作用を起こして効果が減弱するものがあるので要注意です。「テトラサイクリン系」(商品名・ミノマイシンなど)と「ニューキノロン系」(商品名・クラビットなど)が、注意すべき抗生剤として挙げられます。
同じような相互作用で吸収量が減少し、効果が減弱する薬として骨粗しょう症治療薬の「ビスホスホネート」(商品名・ボナロン、フォサマックなど)があります。ただ、これらの薬は「牛乳と一緒に飲むとよくない」というもので、牛乳を飲んでから2時間以上空けて服用すれば効果に影響はありません。飲むタイミングを工夫することが大切です。
タイミングだけではなく、飲む量にも気をつけましょう。
牛乳を大量に摂取すると「ミルクアルカリ症候群(バーネッツ症候群)」という病気を招く場合があります。血液中のカルシウム濃度が高くなり(高カルシウム血症)、吐き気、食欲不振、倦怠感を引き起こします。
とりわけ、大量の牛乳と一緒に胃薬の一種である「制酸薬」(炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウムなど)を取ることで起こる可能性があるとされているので、制酸薬を飲んだ際には牛乳は控えめにしておいたほうがいいでしょう。
一方で、牛乳には「痛み止め」などの“胃が荒れやすい薬”から胃を保護する作用もありますので、痛み止めを服用する前に牛乳を飲んでおくのはオススメです。大事なのは、飲むタイミングと量なのです。
クスリと正しく付き合う