「食の欧米化」というと、どのようなイメージをお持ちでしょうか。「コレステロールが高そう」とか「糖尿病や高血圧などの生活習慣病になりやすい」などのイメージがあるのではないでしょうか。やはり日本古来の和食のほうが、健康的な食事であると考えている方も多いでしょう。
「日本人における食事パターンと死亡リスク」の関連を検討した研究論文が、「プロス・ワン」という科学雑誌の2017年4月26日付に掲載されました。
この研究は45~74歳で、特に大きな病気をした経験がない男性3万6737人と女性4万4983人が対象となっています。
「野菜」「果物」「海藻」「キノコ」「魚」などをたくさん食べる「健康的食事パターン」、「西洋食パターン」、そして「伝統的な日本食パターン」の3つの食事パターンが検討されています。それぞれの食事パターンにおいて、食事の摂取量に応じて4つの集団にグループ分けし、最も摂取量の少ないグループと比較した死亡のリスクを、各摂取量に応じて解析しています。
■15年の追跡調査で日本食の優位性は示せず
平均で約15年の追跡調査の結果、健康的食事パターンと西洋食パターンでは、最も摂取量の少ないグループに比べて、最も摂取量の多いグループで、死亡のリスクがそれぞれ18%と9%、統計学的にも有意に減少しました。一方、伝統的な日本食では明確なリスク低下を認めませんでした。
もちろん、伝統的な日本食が体に悪いわけではありません。西洋食であっても健康面に悪い影響を与えるわけではないということが示されています。ごくわずかですが、死亡のリスク低下まで示されており、「食の欧米化」は必ずしも不健康をもたらすものではないと言えるかもしれません。
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