有名病院 この診療科のイチ押し治療

【心臓カテーテル治療】千葉西総合病院・循環器内科(千葉県松戸市)

カテーテルスタジオから無線指導をする三角和雄院長
カテーテルスタジオから無線指導をする三角和雄院長(C)日刊ゲンダイ
7年連続で全国1位の治療実績

 カテーテル(細い管)を太ももの付け根などの血管から心臓の冠動脈まで送り、動脈硬化で狭窄・閉塞している血管を広げる「心臓カテーテル治療(PCI)」。同科が行うPCIは年間3000件以上にのぼり、7年連続で全国1位の治療実績を誇る。

 これだけ多くの治療が可能なのは、世界でも類を見ない「カテーテルスタジオ」を備えているからだ。スタジオ中央部のモニターには、6室ある各カテーテル室の治療状況がスイッチひとつで映し出され、一元管理できるシステムになっている。そこに座り、無線で術者の医師に指示を送るのは「心臓センター(循環器内科・心臓血管外科)」センター長の三角和雄院長(顔写真)。3万件近くのPCIの経験を持つエキスパートだ。

■「待ちなし」を実現

「治療を担当するスタッフは、どの医師も他院へ行けば部長クラスになれる腕を持つエース級です。脚や首の動脈のカテーテル治療も行っていますが、心臓だけでも1日最低10件以上。心筋梗塞などの心疾患は治療を待っていると命に関わります。フル稼働で“待ちなし”の対応をしています」

 患者は全国から紹介されてくるので、難しい症例も多い。三角院長は全治療を監督する立場だが、治療過程に難所があれば、その部分は直接治療にも加わるという。

 PCIの方法には、狭窄部分を風船で広げる「バルーン療法」、広げた状態を金属のステントで保つ「ステント療法」、器具で削ったりして狭窄を取り除く「アテレクトミー」がある。必要であれば組み合わせて治療する。

 バルーン療法やステント療法は多くの病院で行われているが、アテレクトミーは高度な技術が必要なため、心臓血管外科が常駐していたり、一定のPCI件数が必要になるなど、実施するには施設基準がある。認可されていても、実際、コンスタントにこなしているのは同院を含めて全国で50施設くらいという。

「アテレクトミーには『ロータブレーター』と『レーザー』があります。ロータブレーターは、石灰化して石のように硬くなった病変に対してダイヤモンド粒子が埋め込まれたドリルのような器具を高速回転させて削ります。レーザーは軟らかい血栓の詰まりに用います。バルーンを使うと血栓が飛んでしまうので、レーザーで溶かして取り除くのです」

 同科の治療割合は、バルーン療法とステント療法が7~8割、アテレクトミーが2~3割。特にロータブレーターの効果は絶大だが、習熟した医師でないと血管が傷ついたり、穴が開いたりする重大な合併症のリスクがある。三角院長はロータブレーター治療件数が世界で最も多く、国内140カ所の施設に指導に出向いている。

「ロータブレーターは25年で5000~6000件やっていますが、死亡例はなく、緊急手術が必要になったのは15件。難しい症例を多くやれば失敗もあります。成功率は99・5%です」

 PCIは局所麻酔で1時間以内に終わり、翌日退院できる。全体の再狭窄率は5~8%という。

■データ
徳洲会グループ・社会医療法人社団木下会の病院。
◆スタッフ数=常勤医師16人
◆初診患者数(2016年)=5586人
◆PCI件数(同)=3028件(うちアテレクトミー242件)