注目集まる「亜鉛」がこれからの肝硬変治療を変えるのか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 各臓器では生きていく上で欠かせないホルモンなどを合成しているが、その合成に必要な材料を供給しているのが肝臓だ。このうち肝臓のタンパク代謝は、タンパク質合成に関わる働きのこと。そしてタンパク代謝で重要な役割を果たすのが、亜鉛だ。

「タンパク質が合成される過程で有毒なアンモニアが産生され、尿素回路という酵素群で無毒化されます。ところが、この尿素回路は亜鉛が欠乏すると正常に機能しない。するとアンモニアが処理できず血中で増え、結果的にタンパク質を合成する能力(タンパク代謝)が低下するのです」

■血中濃度維持で肝臓がん発症を抑制

 つまり、タンパク代謝異常を示すアルブミン値3.5g/dl未満は、亜鉛欠乏を意味している。

 肝疾患では、亜鉛がどれくらい欠乏しているのか? 片山医師は、肝硬変をA~Cでランク付けし、その中でもコントロール良好な人をA、状態が悪く生命予後が平均半年~1年の人をCとして調べた。

2 / 4 ページ

関連記事