注目集まる「亜鉛」がこれからの肝硬変治療を変えるのか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 すると、A→B→Cと肝硬変の重症度が進むにつれ、亜鉛の値は低下。Aの一部だけが亜鉛の正常値の範囲に入ったが、BとCは亜鉛の正常値に「かすりもしない」レベルだった。亜鉛が欠乏している人は全体の65%、血中のアルブミン濃度が3.5g/dlより下の人は90%を占めた。

 肝疾患、特に肝硬変に至ると、亜鉛欠乏でアンモニアが増え、肝臓のさまざまな機能が低下する。

 さらに、高齢そのものが亜鉛欠乏を招き、やはり肝機能を低下させる。肝硬変に高齢が重なると、肝機能低下の度合いは加速度的に増すと容易に考えられる。

 つまり、肝機能低下と亜鉛欠乏は密接な関係にあり、肝機能低下を抑制するには、亜鉛が不可欠なのだ。ところが、亜鉛の必要性は認識されているものの、その根拠を示す研究のエビデンスレベルが低く、これまで亜鉛を用いた治療は推奨されてこなかった。

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