がんと向き合い生きていく

卵巣がんの75%以上は進行した状態で発見される

都立駒込病院名誉院長・佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 卵巣がんは、診察、超音波診断、CT、MRI、血液検査の腫瘍マーカーなどで診断されますが、確定診断は組織検査によります。CT、MRI検査では、嚢腫なのか、充実性の腫瘍(固形成分でできた腫瘍)なのかを診断します。卵巣の腫瘍には良性のものと悪性のものがあり、手術で組織を切除しないと確定診断は難しいのです。

 診断後、がんの進行の病期により治療方針が決められます。手術が困難な場合、あるいは手術前に化学療法を行う場合でも、腹膜や転移巣の生検、腹水細胞診などで確定診断をします。

 卵巣がんの病理分類では悪性腫瘍の大部分は腺がんで、「漿液性腺がん」がその約75%を占めます。この場合は化学療法は効きやすいのですが、一方、「明細胞腺がん・粘液性腺がん」は化学療法が効きにくく、厳しい経過を取ることがしばしばです。

 病期は治療法を選択するためにも重要です。Ⅰ期は「卵巣に限局している」、Ⅱ期は「骨盤内に限局している」、Ⅲ期は「腹腔内に広がる」、Ⅳ期は「遠隔転移がある」場合です。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。