我慢できないなら要注意 「頻尿」に潜む5つの病気

深刻な病気が隠れているかも
深刻な病気が隠れているかも(C)日刊ゲンダイ

 オシッコが近い。トイレの回数が多い──。でも、「誰かに相談するのは恥ずかしい」と、人知れず悩んでいないか。

 トイレに行く回数が1日8回以上の場合、「頻尿」と診断される。回数に加え、「新橋日比谷通りクリニック」の吉原秀樹院長(泌尿器科医)が重視するのは、「尿を我慢できるかどうか」だ。

「尿の回数は水分摂取量などで変わりますが、もし我慢できずに尿を漏らしてしまうことを繰り返しているようなら、深刻な病気が隠れているかもしれません。泌尿器科を受診すべきです」

 頻尿で多いのは「過活動膀胱」だ。原因は解明されていない。大抵は放置して治るものではなく、薬や認知行動療法が症状の改善に役立つ。

 だからこそ早い段階で泌尿器科で診てもらうのがベストなのだが、恥ずかしがって躊躇する人が多い。内科や婦人科など“専門外”を受診する人もいる。結果、診断や治療が適切でない可能性がある。具体的には次のようなケースだ。

■男性の場合

①前立腺肥大が見逃されている

 50歳以上の頻尿で過活動膀胱と並んで可能性が高いのが「前立腺肥大」だ。

「併発例がよく見られます。前立腺肥大がひどければ、そちらの治療も必要です」

②糖尿病が見逃されている

 残尿感があると、トイレの回数が増える。その背景には「糖尿病」があるかもしれない。

「糖尿病が進行すると末梢神経が障害され、尿意を感じにくくなり、膀胱が徐々に大きくなる。すると膀胱の収縮能力が弱まって尿が出にくくなるため、残尿感が生じやすいのです」

 つまり頻尿には、過活動膀胱、前立腺肥大に加え、糖尿病のチェックも求められる。

「糖尿病は自覚症状に乏しく、健診を毎年受けていない人は気付いていない。泌尿器科では尿検査を行うので、糖尿病が偶然発見されることがあります。尿検査で糖が多く出ているため調べると、糖尿病の合併症をすでに起こしていた、というケースもまれではない」

■女性の場合

③膀胱炎と誤診されている

「膀胱炎」でも尿が近くなる。専門外の医師には「頻尿=膀胱炎」と問診だけで判断する人も。「他院で膀胱炎と診断された患者さんの尿を調べると、膀胱炎ならいるはずの細菌が全く見つからず、実は過活動膀胱だったというケースは珍しくありません」

④別の疾患が原因で膀胱炎を頻発している

 大きな「子宮筋腫」や「卵巣嚢腫」が膀胱を圧迫し、膀胱炎を年に数回繰り返しているかもしれない。

 閉経後の女性では「更年期障害」も考えられる。女性ホルモンの減少で膀胱の粘膜が弱くなり、細菌が付着しやすくなって膀胱炎を発症する。

「膀胱炎の治療で治らなければ、時に女性ホルモンの投与など更年期障害の治療が行われます」

■男女共通

⑤精神疾患が原因になっている

「強迫性障害」によって生じた過活動膀胱もある。強迫性障害は、手を過剰に洗う、鍵をかけたかどうかが異常に気になるなどの“症状”が知られるが、それらは目立たず、トイレの回数が増える人もいるのだ。

「強迫性障害が考えられれば、過活動膀胱の薬に加え、抗不安薬や抗うつ薬を少量処方すると効き目が良い」

■性行為後は排尿を

 女性の中には「泌尿器科は男性専門」「(婦人科と同じ)内診がある」と誤解している人が多いと、吉原院長は言う。

「泌尿器の疾患を診るのが泌尿器科なので、尿の悩みは女性でも泌尿器科へ。問診、尿検査、エコーで診断でき、内診は一般的には行いません」

 また、女性の膀胱炎で非常に多いと感じているのが、「性行為中に細菌が侵入する」タイプ。尿意がなくても性行為後すぐ排尿すると、かなりの率で防げる。さらに、クランベリージュースのキナ酸という成分が、膀胱炎の予防につながるという報告もある。

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