独白 愉快な“病人”たち

俳優・真夏竜さん語る「進行性胃がんと闘って得たもの」

“尋常じゃない”痛みに舞台が終わるまで耐えた(C)日刊ゲンダイ

 2004年秋に「進行性胃がん」で「余命半年」と宣告されたんですけれど、あれからもう13年経ちましたね(笑い)。

 当時、胃の痛みを感じながら舞台に出ておりました。稽古中から胃壁を指でつつかれるような違和感があり、近所の町医者に行くとレントゲンを撮られて「胃炎です」と診断されたんです。で、胃薬をもらって飲んでいましたが、まったく良くなりませんでした。

 その後、症状は「指でつつかれる」から「指で押される」に変わり、舞台の幕が開くころには「指でつねられる」になって、しまいには「ペンチでつままれる」くらいの痛みになりました。さすがに「これは尋常じゃない」と思いましたよ。でも、舞台を途中で降りるわけにはいかないので、終わるまで耐えたわけです。

 舞台が終わってすぐに大きな病院に行くと進行性胃がんと診断され、ステージ3Aという厳しい状態で「即入院」と言われました。こういうとき、よく「頭が真っ白になる」なんていいますけど、自分でも不思議なくらい冷静で「そうですか、しょうがないな」という印象でした。

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