受診までの「応急処置」

【虫さされ】チャドクガに直接触れずとも毒針はささる

チャドクガはツバキの木などの葉にみられる
チャドクガはツバキの木などの葉にみられる(C)日刊ゲンダイ

 この時季の虫さされで注意したいのは「毛虫」。特に「チャドクガ」の幼虫による被害は、5~6月と8~9月がピークとされる。「山手皮フ科クリニック」(東京・高田馬場)の豊福一朋院長が言う。

「毛虫による皮膚炎の原因の大半はチャドクガです。ツバキ科に属するツバキやサザンカ、茶の木などの葉に、何十匹も固まりとなって見られます。人をさすのは毛虫の長い毛ではなく、体表に無数にある0.1ミリほどの微細な毒針毛です。それが皮膚にささると赤いブツブツが出て、その範囲が広がり、強いかゆみを伴うのが特徴です」

 しかし、チャドクガの毛虫を直接触らなくても、知らないうちに毒針毛が衣類に付着して後からささる場合もあるという。また、毛虫がいなくても洗濯物に毒針毛が残されている場合もある。家の庭木などにチャドクガの幼虫が繁殖しているようなら、駆除しておくことが大切だ。

「毛虫に触れたときは、かいたりこすったりしてはいけません。毒成分をさらに体内へ侵入させてしまうからです。触れた皮膚の部分にガムテープなどの粘着テープを貼って、ささった毒針毛ごとはがし取ってください。そして、泡立てたセッケンをつけて十分に洗い流してください」

 その後、さされた患部に抗ヒスタミン薬とステロイド成分を配合した市販の外用薬をとりあえず塗っておく。2~3日しても症状が改善しないようなら、きちんと皮膚科を受診しよう。

 ハイキングなどで野山に入るようなときには「マダニ」にも注意しよう。かまれると、「重症熱性血小板減少症候群」「ライム病」「日本紅斑熱」「ツツガムシ病」などの感染症を媒介する可能性があるからだ。

 マダニの成虫の大きさは通常3~4ミリで、一度かむと血を十分吸い取るまで離れない。首やわきの下、ヘソの中など皮膚が軟らかい部分にかみつきやすいので、野山から帰ったら体についていないか確認しよう。

「かまれていたら根元からピンセットで挟み、ゆっくり抜き取る。ただし、無理にはがそうとするとマダニの顎が皮膚に残ったり、病原体をもっていればかえって広げてしまいます。自分で抜くのが難しければ皮膚科で切開してもらってください」

 かまれて熱が出るなどの異常があれば、必ず病院を受診しよう。むやみに怖がる必要はないが、野山に入るときは帽子の着用、長袖、長ズボン、首にタオルを巻くなど、肌の露出を少なくしよう。