■アクシデントを想定した訓練が大切
長時間回転させるケースも考慮して、自転車のように大小の歯車をチェーンで連結し、少ない力で一定の回転を生み出せるようなハンドルも付いています。人間の心臓は1分間に60回ほど拍動しているので、1秒間に1回転くらいの間隔でハンドルを回して血液を循環させ、酸素を供給できれば何とかなるのです。
結局、10分くらいで電源が復旧して事なきを得ました。ただ、今だから笑い話になりますが、その時は必死です。いつ復旧するかわからない状況なので不安ですし、ハンドルを回す技士さんに向かって「とにかく頑張れ」とハッパをかけ続けました。
ほかにも、人工心肺の2つのポンプを連結しているチェーンが切れて、動かなくなってしまったアクシデントも経験しました。すぐに予備の人工心肺をバイパスして乗り切りました。人工心肺は電気で動く機械ですから、どれだけ注意していてもトラブルが起こる可能性があるのです。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」