“病は気から”に数々の研究報告 プラセボ効果はなぜ起こる

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 世界11の病院で脊椎骨折患者131人を対象に半数が椎体形成術を受け、半数にはニセの手術を受けるにあたり「セメント注入を受けた可能性が50%ある」と伝えて1カ月間の追跡調査をしたところ、両群に治療効果に差がなかったという。2014年に専門家が狭心症から膝関節炎にいたる外科手術53件のプラセボ効果を調べた研究では、約半数の手術で効果に差がなかったとも報告されている。

 驚くべきは、ニセの医療行為であると知っていても「治るかもしれない」と患者が思い込めれば、効果が望めることだ。

 ハーバード大学の心理学者カーシュらの研究グループは10年の研究で過敏性腸症候群の患者40人に「あなたが飲むのは薬理効果のない物質でできた薬ですが、心身の自己回復過程を介して症状を大幅に改善する可能性があることが臨床試験によって明らかにされています」と説明。1日2回、21日間投与したところ、まったく治療を受けなかった患者40人と比べ経過は良好で、重症者の数が減少したという。

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