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【がん患者の心のケア】聖路加国際病院・リエゾンセンター(東京都中央区)

聖路加病院(C)日刊ゲンダイ

「具体的には、意識を呼吸することのみに集中してもらいます。冷たい空気が鼻の中に入っていき、暖かい空気が鼻から吐き出される。それを体で感じ取る。しかし、それでも余計な雑念が浮かんできます。そうしたら、さらに集中力を高めるように、体で感じ取っている呼吸を頭の中で実況中継をするように指導しています」

 1回につき10分くらいやるのが目安。1日に何度もやればやるほど、うまくできるようになっていくという。同科がマインドフルネスを用いた心理療法を導入したのは3年ほど前だ。

「呼吸瞑想がいいのは、何も使わず、簡単でいつでもどこでもできるからです。がんになってショックを受けているときは、何をするのも面倒になります。がんのことを理論的に考えたい人は、テキストなどを使う従来の認知療法でもいいと思います」

 瞑想の効果はどうか。同科では院内のホールで毎月1回、「マインドフルネス瞑想会」を開催している。がん患者の参加者は常時100人(7~8割がリピーター)を超える。この参加者数をみても効果は実感しているという。瞑想会には、同院の患者でなくても参加できる。

■データ
聖路加国際大学の病院。
◆スタッフ数=常勤医師6人(心療内科2人、精神科3人、精神腫瘍科1人)
◆年間初診患者数(2015年度)=約1030人(うち精神腫瘍科の患者は約200人)

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