「がんと仕事」厳しい両立

支援制度はあっても…働き続けた人の1割が会社を変えた

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 病状によっては、「体力面から就労が困難」(24.8%)、「治療・療養に専念する」(8.8%)と退社することもあるが、問題は「上司、同僚の理解・協力が少なかったため」(10.9%)、「職場から勧められたため」(8.8%)というケースも目立つことだ。

 東大医学部付属病院放射線科准教授・中川恵一氏がこう言う。

「たとえば、胃がんや大腸がんの早期なら、日帰り手術が可能なケースもあり、早期がんは95%が治ります。仕事と治療の両立が問題になるのは進行がんで見つかったケースです。そこで壁になるのが就業規則で、時短や有休を活用できるかどうか。大企業だと、がん患者の就労支援で活用できても、中小企業だと就業規則に明文化されていても上司や社長の無理解で活用できないことが少なくない。周りの反感を買ったり、冷たくされたり。だから、がん拠点病院の相談支援室や産業保健総合支援センターなどに治療と仕事の両立について相談するのが有効なのですが、そんな対応策を知らずに追い込まれ、行き場を失うケースがよくあるのです」

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