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【糖尿病】JCHO東京新宿メディカルセンター・糖尿病内分泌内科(東京都新宿区)

JCHO東京新宿メディカルセンター(右)と糖尿病内分泌内科の関根信夫院長
JCHO東京新宿メディカルセンター(右)と糖尿病内分泌内科の関根信夫院長(提供写真)
生活の質を最大限保つ治療法がモットー

 同院は、JR東日本以外に都営地下鉄大江戸線、東京メトロ東西線や有楽町線など地下鉄4線が乗り入れる「飯田橋駅」近くに立地。力を入れている診療の一つが「糖尿病」だ。

 糖尿病診療チームは、「医師」「看護師」「栄養士」「臨床検査技師」「薬剤師」「理学療法士」「医事課職員」の17人で構成され、同時に院内全体の糖尿病診療の体制を検討する「糖尿病診療委員会」の委員を兼ねる。

 糖尿病内分泌内科の関根信夫院長が言う。

「外来で治療を行っている糖尿病の患者さんは約2500人で、入院患者さんは年間200人程度です。しかし、他の疾患で入院された患者さんの中にも、血糖管理や治療法の見直し、合併症の評価などが必要な方がいます。そのような患者さんに対しても毎週1回、糖尿病担当医と看護師、栄養士が院内全病棟を回診する『糖尿病ラウンド』を行っています。ですから常時70~100人の入院患者さんを診ている計算になります」

 糖尿病の患者向けに3つの入院コースを設け、さまざまな治療の問題点に対応している。

「2週間コース」は、血糖値を安定させ、それぞれの患者に合った最適な治療方針を決める。合併症の検査もひと通り行うことができる。

「1週間コース」は、外来での血糖管理がうまくいかない場合の食事療法を学び、内服薬・インスリン投与法の見直し、急な血糖コントロールで悪化した場合のインスリン注射のし方などを習得。

「週末入院(3~4日間コース)」は、木曜の午後に入院、金曜は検査日、土~日曜まで食事療法を体験。この間、持続血糖モニターで血糖値の動きを調べ、治療方針の見通しを立てる。血糖値の自己測定やインスリンの自己注射などの実体験も可能だ。

■近隣のかかりつけ医を逆紹介することも

 糖尿病の病態は、患者によって千差万別なので個別治療が基本になる。その病態の評価は、検査でインスリン分泌能・インスリン抵抗性を調べ、血糖管理に関係する食事・運動・生活習慣・生活環境・合併疾患などの要素を分析して、治療方針に結びつけるという。

「糖尿病の薬物療法は選択肢が著しく増え、さまざまなアプローチが可能です。しかし、重要なことは誰にでも効果のある理想的な薬物があるのではなく、個々の患者さんに合わせた最適な治療薬を選択することです。個人的な意見として、理想的な薬物の3条件は、①病態に合っている②合併症予防に効果的③安全性(副作用などが少ない)――と考えています」

 常に心がけているのは「生活の質(QOL)の尊重」だという。治療に生活がしばられるのではなく、QOLを最大限に保つ治療法が大切だという。同科では「糖尿病外来地域連携枠」として、毎週月曜の午後に、関根院長が1回約30分かけて診療する「特殊外来」を開設。地域連携に関わる医療機関からの予約を受け付けている。

「普段、かかりつけ医から治療してもらっている患者さんでも、節目ごとに病院での専門的な『相談・検査・入院』を活用していただきたいと思います。きちんと血糖コントロールできる患者さんは、近隣のかかりつけ医への逆紹介も積極的に行っています」

■データ
旧東京厚生年金病院。現在は地域医療機能推進機構(JCHO)の病院。
◆スタッフ数=常勤医師4人(日本糖尿病学会専門医2人)
◆糖尿病の年間初診患者数=約120人