Cさんは、上司と3人の同僚には子宮頚がんのことを話してありました。その同僚のひとりであるFさんは、前の職場で働いていた時に乳がんの手術を受けていました。ただ、Fさんは今の会社にそのことは伝えておらず、Cさんにだけ「内緒よ!」と打ち明けたのだそうです。
ある時、そんなFさんは腰に激痛が走り、救急車で病院へ搬送されました。乳がんの骨転移でした。上司はFさんがかつて乳がんの手術を受けたことを知らなかったため、社員を集めて「誰か知っていた人は?」と尋ねたそうです。Cさんが手を挙げると、「なぜ、私に知らせなかった」と迫ったといいます。Cさんは「個人情報ですから……」と答えるのが精いっぱいでした。結局、それからお互いの信頼関係が崩れてしまい、CさんもFさんも会社を辞めることになってしまいました。患者は職場を失い、会社は貴重な人材を失ったのです。
がんと向き合い生きていく