病院は本日も大騒ぎ

高齢患者 「わしゃ、帰る!」と素っ裸で廊下を猛ダッシュ

写真はイメージ
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 関東圏内にある総合病院の入院棟に勤務している看護師歴30年のトヨコです。前回、高齢者の入院患者さんについてお話をしました。ご承知の通り、高齢化社会で近年、高齢者の入院患者さんが増えているのは、どこの病院でも共通した現象です。話をもう少し続けます。

 92歳の女性が入院してきました。いわゆる“まだらボケ”の症状で、トイレなど病院内の移動には車椅子を使います。頭がしっかりしているときは問題ありませんが、ときどき混乱してしまいます。廊下を車椅子で移動しながら、すれ違う患者さんや看護師にひたすら声をかけ始めるのです。

「ねえ、私を知っている?」

 昼食時、看護師が病室に連れて帰ると、「私は宇宙人だから、このような食べ物は食べません!」と食事を拒否することもあります。なんとかなだめて食事をしてもらいますが、毎日のことですから大変です。

 体格のいい認知症のおじいさんは検査入院でした。おそらく家族が“だまして”病院に連れてきたのでしょう。さまざまなトラブルがありました。

 おじいさんは、自分がいまいる場所が病院だと分かると、いきなり怒り出し、なぜかパンツまで脱いで裸になったのです。さらに「わしゃ、帰る!」と大声を上げ、病室を抜け出して廊下を走り出しました。看護師2人で脱ぎ捨てた洋服を抱えながら追いかけ、なんとかつかまえましたが、病室まで戻すのが大変でした。

 品が良さそうな80代のおばあちゃんは、軽い肺炎を起こして入院してきました。物静かな性格でしたが、認知症が随分と進んでいるようでした。 ベッドから身を起こすと、食事用のテーブルを布切れで何時間も磨くのです。誰に迷惑をかけるわけではありませんから黙認していますが、われわれ看護師もどうしたらいいのか対応に苦しんでしまいます。