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トランプが待った? 「カロリー表示」ドタキャンの波紋

 全米レストランチェーンに義務付けられるはずだった「カロリー表示」が施行4日前に突然撤回され、レストラン業界に混乱が広がっています。

 米国では現在、国民の74%が太り過ぎ、36.5%は肥満症です。そこでニューヨーク市では、2008年から全米20店舗以上のレストランチェーンに対し、カロリー表示を義務化しました。

 続いて、米食品医薬品局がこの動きを全米レベルに引き上げようと、オバマ政権時代にレストランチェーンとコンビニエンスストアのメニューのカロリー表示を決定。今年5月からの施行のために準備を進めていたのです。

 ところが、今になって突然「施行停止」となり、大金をかけて準備を済ませていた多くのレストランチェーンは頭を抱えています。そのまま自主的にカロリー表示に踏み切ったチェーンもあります。

 なぜ、このようなことが起こったのでしょうか? 共和党のトランプ政権は、発足直後からあらゆる規制緩和を行ってきました。中でも、全米で展開するピザ・レストランチェーンの強力なロビー活動があったからだと伝えられています。こうした食品業界は、自由な経済活動の妨げになるとして、カロリー表示を義務付ける動きに反対し続けてきたのです。

 カロリー表示をドタキャンした食品医薬品局の釈明も、「よく分からない」と批判を浴びています。「国民に負担を与えない方法で、もっと役立つ情報を提供する必要があるから」というものです。関係者の間では「カロリー表示よりも役立つ情報ってあるのか?」と反発する声も出ています。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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