独白 愉快な“病人”たち

診断に7年…漫画家・島津郷子さんとパーキンソン病の闘い

「また漫画が描けるようになったことがうれしかった」と語る島津さん(C)日刊ゲンダイ

 約10時間の大手術でした。頭に2カ所穴を開けて電極を刺し、胸に機械を入れたので、計4カ所に6~7センチの傷があります。術後、電極を通すとそれまでの震えが嘘のようになくなって「わぁ、普通の人だぁ」と思いました(笑い)。うれしかったのは、震えがない体を取り戻せたことと、また漫画が描けるようになったこと。一時は「もう描けない」と絶望しましたから、久しぶりに墨汁のにおいを感じたときは感動しましたね。

 今も薬が必要ですし、ちょっと声が出にくかったり、歩くのが危なっかしいからヘルパーさんや看護師さん、リハビリの先生などに訪問してもらっていますが、なんとか穏やかに暮らしています。したいことはできるうちにやりたい。特別なことじゃなく、人に会ったり、漫画を描いたりという普通のことですけれど。

▽しまづ・きょうこ 三重県生まれ。1973年に少女コミック誌「週刊マーガレット」(集英社)でデビュー。代表作に91年から11年間「YOU」(同)で連載された「ナース・ステーション」(全20巻)がある。その後、病気を発症して活動休業。8年のブランクを経て、09年に執筆を再開した。昨年、闘病記をまとめた「漫画家、パーキンソン病になる。」(ぶんか社)を発売。

5 / 5 ページ

関連記事