当事者たちが明かす「医療のウラ側」

70代半ばのおばあさんに「自己注射」は必要なのか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ここ3年ほど私が勤める薬局にいらっしゃる、74歳の女性の患者さんがいます。骨折予防として骨粗しょう症のお薬を長いこと飲まれておられます。

 しかし、ある時、友人と薬の話をしていて疑問に感じたようで、「骨粗しょう症の薬は飲み続けないとダメなのでしょうか?」と聞いてこられました。私は「処方された先生のお考えがあるので、次回の診察の時に、主治医の先生にそのことをご質問されたらいかがですか?」とアドバイスしました。

 その時は納得されて帰られたこの患者さんですが、主治医は大変忙しい方のようで、何カ月経ってもなかなか質問を切り出せなかったようでした。そこで、この患者さんは別の病院で骨密度を調べてもらったところ、「薬を飲むのをやめても問題ありませんよ」と言われたそうです。

 この患者さんはそのことを主治医に話したところ、「ああ、そうですか、では薬はやめましょうかねえ」とニコニコしながら言われ、喜んでいました。「よかったですねえ」と笑顔を向けて、差し出された処方箋を見たところ、見慣れない薬剤の名前が……。何と自分で皮下注射するタイプの骨粗しょう症の薬が処方されていたのです。

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