当事者たちが明かす「医療のウラ側」

70代半ばのおばあさんに「自己注射」は必要なのか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 骨は常に、骨が新しく作られる過程と骨が壊される過程を繰り返しています。骨粗しょう症はこの骨の代謝バランスが崩れた状態をいい、従来は骨が壊される過程を抑制する強力な薬はあっても、骨が新しく作られる過程に作用する強い薬はありませんでした。新たに処方された注射薬がまさにそのタイプです。

 どうやら、主治医はこの患者さんがよその診療所に行き、アドバイスを求めたことを内心怒っていたようです。なぜ、この薬を出されたのか、この患者さんは「よくわからない」と言っておられました。

 この患者さんは私の知らない病気があり、どうしても骨粗しょう症の投薬が必要なのかもしれません。それでも患者さん自身に薬の必要性が伝わっていないのは問題です。

 しかも、他の医師が「特に飲まなくてもいい」と言っているのですから、少なくとも説明はしないと……。

 そもそも74歳の女性に自己注射を勧めるなんて……。最近は年配者の病院離れが多くなっているので、この患者さんを「裏切り者」とでも思ったのでしょうか?

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