役に立つオモシロ医学論文

坂道の多い街では糖尿病が悪化しにくい?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 その結果、残念ながら高齢者における糖尿病の発症と、地域における坂道の平均傾斜角については関連を認めませんでした。しかしながら、血糖値がしっかりコントロールできていない糖尿病は、地域における坂道の平均傾斜角が約1.5度上昇すると、18%統計学的にも有意に減少することが示されました。

 この研究では、坂道の多い居住環境に住むことが糖尿病を予防できるかどうかについては不明という結果でしたが、コントロール不良の糖尿病を予防できる可能性が示唆されています。

 街の環境をデザインするに当たり、道路にわずかな傾斜をつくることで、糖尿病の悪化を防ぐことができるかもしれません。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。