明細書が語る日本の医療

膀胱がんの内視鏡手術数は新規患者数よりはるかに多い

膀胱がんと腎臓がんに対する手術(C)日刊ゲンダイ

 TURBTは、内視鏡で内側からがんを削り取る手術です。膀胱を失う心配はありません。がんの進行度が低く、周辺に浸潤・転移がないと判断されれば、まずこちらを受けることになります。

■何度も繰り返すのが原因

 膀胱がんの新規患者数は、上皮内がんを加えても男性2万6000人、女性6000人ほど(2012年)に過ぎません。ところが、TURBTの件数はそれをはるかに上回っています。実はTURBTではがんを完全に取り切れず、数年以内に再発するケースが多いのです。そのため2度目、3度目を受ける人が大勢いるわけです。

 腎臓は左右合わせて2個あり、両方とも同時にがんになることはめったにありません。そのため、がんに侵された方を全摘するのが基本です。ただし、がんの範囲が狭い場合は部分切除にとどめることもあります。

2 / 3 ページ

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。