がんと向き合い生きていく

「悪性リンパ腫」には様子をみていいタイプもある

都立駒込病院の佐々木常雄名誉院長(C)日刊ゲンダイ

■日本人は「瀰漫性B細胞型」の非ホジキンリンパ腫が多い

 まずは1カ月入院し、抗がん剤による治療(CHOP+リツキサン)を2コース実施して、リンパ節腫大は消失しました。その後も外来で治療を繰り返し、計8回の抗がん剤投与を行って、いまは再発なく元気で過ごされています。

 悪性リンパ腫の初期症状は、リンパ節が腫れる以外に時々発熱することもありますが、Kさんのように症状がない場合もあります。リンパ節の腫れは、頚部だけでなく腋下や鼠径部の腫大で気がつくことも少なくありません。生検でリンパ節を切除し、病理診断によって確定診断します。

 悪性リンパ腫は「ホジキンリンパ腫」と「非ホジキンリンパ腫」に大別され、そこからさらにたくさん分類されます。非ホジキンリンパ腫は大まかには「瀰漫性」と「濾胞性」に、また「T細胞型」「B細胞型」「その他の型」に分かれます。さらにリンパ節腫大の広がりでステージⅠ~Ⅳ期に分かれます。日本人に多いのは「瀰漫性B細胞型」です。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。