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米はパリ協定離脱を宣言 地球温暖化で睡眠障害が増える?

 アメリカのトランプ大統領がパリ協定からの離脱を宣言。地球レベルで地球温暖化対策を改めて考えなければならない時が来ていますが、そんな中で「地球温暖化で眠れない夜が増える」という研究結果が発表され、話題になっています。

 熱波の頻度や海面の上昇など自然界に与える影響は予測できても、人間の健康に対する温暖化のインパクトを測るのは難しいとされています。これまでも熱帯性の伝染病の増加や、寒冷による死の減少などが予測されてきましたが、今回のように地球温暖化と睡眠の関連が研究されたのは初めてです。

 発表したのは「サイエンス・アドバンス」誌の電子版です。研究者は政治学者のニック・オブラドビッチ博士で、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学の協力の下、アメリカで2002年から11年の間に集められた、約77万人分の睡眠に関するアンケートからはじき出されました。

 現状レベルで温室効果ガスが放出され続けた場合、50年までに、1カ月に経験する眠れない夜は100人につき「6夜」増えると予測。99年の前までには100人につき「14夜」増えるとしています。

 大した変化ではないように思えるかもしれませんが、睡眠不足があらゆる病気や仕事の効率を妨げる原因になることを考えると、無視できない数字です。エアコンが買えない貧困層や、体温の調整が難しくなるお年寄りほど影響が強くなることも強調しています。

 一方、このデータは通常の睡眠パターンのアンケート調査で、温暖化を想定して行われたものでないこと、50年後、100年後のエアコンの普及状況などライフスタイルの予測が難しいことなどから、数字の信ぴょう性を疑問視する声も。ただし、熱帯夜で眠れない経験を持つ私たちにとっては、温暖化が睡眠に何らかの影響を与えることは間違いないといえそうです。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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