独白 愉快な“病人”たち

腎盂と膀胱がん経験 柳家権太楼さん「手術前日も落語」

周囲の人たちへの感謝を語った柳家権太楼さん(C)日刊ゲンダイ

 そのときの院長の様子ときたら、ニコニコ笑いながら「がんだったよ!」ってね(笑い)。長年親交がある仲なので、通り一遍の検査じゃ見逃してしまうようながんを全力で見つけてくれたんです。感謝ですよ。「もし見逃してたら?」と聞いたら、「再来年の花見はできなかったかな」と言われました。

■手術の前日まで落語、翌年には膀胱がんの手術も

 腎盂は尿が集まる場所で、私の場合は左の腎盂のがんが筋層まで浸潤していたので、治療は左の腎臓と尿管の全摘出の手術になりました。「あなたは“落語界の宝”だから」と院長が紹介してくれたのが、帝京大学医学部病院。日本のトップ技術を持った外科医の手で腹腔鏡手術が行われたのが11年の1月11日でした。

 1月といえば、元日から10日は「初席」といって顔見せの大事な時期。実は「どうしても出たい」とお願いして、手術の日を初席が終わるまで延ばしてもらったんです。手術の前日まで落語をして、さらに言えば、退院した翌日にはもう仕事に行きました。とにかく落語がやりたくて仕方ないんですもん(笑い)。

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