独白 愉快な“病人”たち

腎盂と膀胱がん経験 柳家権太楼さん「手術前日も落語」

周囲の人たちへの感謝を語った柳家権太楼さん(C)日刊ゲンダイ

 でも、こう見えて人間ドック好きで、50代から2年に1度は頭から爪先まで全部診てもらっていたんです。尿酸値と中性脂肪が高めとか言われていたんですけども、人間ドックを受けていることで安心し、健康を過信していたところはありました。私を救ってくれたのは医師や看護師さんという医療の人たちばかりではなく、弟子であったり家族であったり、何よりお客さまのおかげです。もう、粗末にはできないと思っています。

 腎臓の手術前、かみさんに「63歳で終わったとしても、俺はここまでよくやった。もし“権太楼にはもう少し長くやってほしかった”と誰かが言ったら、“満足だと言っていた”と言ってくれ」と話したんですが、実際はね、悔いは残りますよ(笑い)。だって、生きていれば“言い訳”ができる。「病気になっちゃったよ」や「まいったよ」って言えるじゃない。亡くなったら何も言えないからね。

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