明細書が語る日本の医療

膀胱・腎臓がん手術 なぜ都道府県格差が激しいのか?

膀胱がんと腎臓がんの都道府県別手術件数(C)日刊ゲンダイ

 腎臓がんは、がんに侵された側の全摘が基本で、開腹術と腹腔鏡によるものに分かれます。がんが周辺の組織やリンパ節に浸潤・転移している場合は、切除範囲が広く手技も複雑になるため、開腹術が選択されます。しかし、悪い腎臓を切除するだけなら、傷口が小さく回復が早い腹腔鏡が好まれます。

 開腹術では山形県が14.2件で大差の1位。ところが腹腔鏡では最下位です。山形県では腹腔鏡手術ができる医師・病院がかなり不足しているのでしょう。同じように開腹術で2位の新潟県は、腹腔鏡手術では42位。開腹術3位の栃木県は腹腔鏡手術で45位。一方、腹腔鏡1位の鳥取県は開腹術では41位。2位の大分県は開腹術では45位。開腹術で最下位の宮崎県は腹腔鏡では11位に入っています。

 つまり、開腹術と腹腔鏡手術の件数はトレードオフの関係にあるのです。開腹術の多い県ほど、腹腔鏡手術が苦手という傾向がはっきりと見て取れますし、腹腔鏡を多く行っている県は開腹術が少なめになっています。

 腎臓がんの手術を受ける際には、腹腔鏡でも可能か、自分の県は腹腔鏡が得意かなどを調べておくべきです。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。