あの話題の治療法 どうなった?

義歯やインプラントに代わると注目 「接着ブリッジ」とは

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 歯を失うと義歯か前後の健康な歯を削ってかぶせ物(ブリッジ)をするか人工歯根をあごの骨に埋め込むインプラント治療が一般的だ。それに代わる治療法がここ数年注目されているという。都内で歯科医院を経営する歯科医に聞いた。

「それは『接着ブリッジ』と呼ばれる治療法です。欠損した歯の両隣を土台として人工歯を接着性のレジン(歯科用の白いプラスチック剤)で貼り付けます。通常のブリッジでは抜けた歯の前後の歯を大きく削るのに対して、この方法はほとんど削りません。そのため従来型のブリッジやインプラントに抵抗感のある患者さんに人気になっているのです」

■背景にインプラントの“ネガキャン”の影響

 接着ブリッジは麻酔を使わない、治療回数・時間が少なくて済む、自分の歯を多く残せるなどのメリットがある一方で、治療対象が限られるなどのデメリットもある。

「対象になる歯は、負担がかかりにくい上下の前歯と第1小臼歯で、失った歯は原則1本まで。歯周病があったり、噛み合わせが悪かったり、歯ぎしりがある人は対象外です。抜けた歯の前後の歯は健全なエナメル質と神経が残っていなければなりません。通常のブリッジやインプラントに比べて接着強度が低いため、強い力が加わるとはずれたり、割れたりすることがあります」

 最近は欠損している歯の両隣の歯に直接コンポジットレジンやハイブリッドレジンを接着したブリッジ治療もある。

「接着ブリッジが最も適しているのは噛む力が弱い高齢者でしょう。治療期間が短く、体への負担が少ないからです。ただ、接着ブリッジ自体は30年以上前に開発された治療法であり、最近注目されているのは2011年ごろに起きたインプラントのネガティブキャンペーンの影響です。私はしっかり噛めることを考えればインプラントの方がいいと思います」