数字が語る医療の真実

日本海軍でかっけ集団発生 解決のキッカケは間違った仮設

 日本海軍の軍艦「龍驤」のかっけの集団発生を調べてみると、品川を出港、南米のカラオを経てハワイへ行くまでの間に138人の患者が発生しているのに対し、ハワイ以後は一人もいないことがわかります。この事実は日本海軍の医師だった高木兼寛の考えを強く支持するものでした。

 彼はこの数字を知る以前に、かっけは英国海軍にはなく、日本海軍では兵士に多く、下士官には少ないことを突き止めていました。英国海軍は当然のごとく洋食ですし、日本海軍の士官は自分の金でたびたび洋食を食べており、水兵はほとんど洋食を食べません。そこで、「食事にかっけの原因があるのではないか」と考えたわけです。

 さらに、洋食と和食の大きな違いはタンパク質の摂取量にあり、「タンパク質不足がかっけを引き起こす」という仮説を実証するチャンスを待っていたところ、このかっけの多発です。カラオまでは日本食だけを食べており、ハワイからは洋食が導入されたとしたら、彼の仮説通りです。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。