数字が語る医療の真実

日本海軍でかっけ集団発生 解決のキッカケは間違った仮設

 龍驤でのかっけの多発は、この仮説を強く支持します。もともとタンパク質が少ない日本食を食べながらカラオまで航海したのでかっけが多発し、ハワイで日本食の食材が十分に調達できず洋食を取るようになり、タンパク質不足が解消し、かっけが発生しなくなったということです。

 現在では、この仮説は間違っていたことがわかっています。しかし、間違っていたにもかかわらず、高木兼寛は海軍でのかっけの克服に成功します。そう書くと、単に運が良くて解決したのかと思うかもしれません。しかし、仮説の内容は間違ってはいたけれど、科学的な考えのプロセスこそが、この先の問題を解決していくのです。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)、「逆説の長寿力21ヵ条 ―幸せな最期の迎え方」(さくら舎)ほか。