独白 愉快な“病人”たち

星奈津美さん バセドー病乗り越え知った「練習できる幸せ」

「病気を通して成長できた」と語る星奈津美さん/(C)日刊ゲンダイ

■コーチの提案でシュノーケルを着けてバタフライ

 当初はリハビリとしてトレーニングをしたいと思っていました。でも、腹筋をすると首に力が入って痛みが出るし、走っても振動で痛いんです。復帰したのは12月だったのですが、水泳は冬場にハードな練習を繰り返します。それなのに、リハビリ程度のことも痛みでこなせず、首を上げ下げするバタフライも練習できずにクロールを流す程度で精いっぱい……。その状況に焦りました。

 そんな私の様子を見ていてくれたんだと思います。復帰して2週間くらい経った頃、平井(伯昌)コーチが「今日はバタ(フライ)やってみるか」と言うんです。しかも200メートルを10本! 正直、「この人は何を言っているんだろう」とびっくりしました。

 すぐに「無理です」と返事をしたのですが、コーチは「いいからシュノーケルを着けてやってみろよ」と笑顔で勧めます。その方法だと首を上下に動かす息継ぎはしなくても泳げるんですよね。で、不安な気持ちのまま挑戦してみたところ、無事にクリアできたんです。これは大きな自信になりましたし、純粋にバタフライを泳げてうれしかった。普段は「自分はなんでこんなにキツイ種目を選んだんだろう」「誰がこんな泳ぎを考えたんだろう」なんてバタフライの選手同士でよく言い合っているんですけど(笑い)。

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