あの話題の治療法 どうなった?

ロシア生まれの身長を伸ばす手術「イリザロフ法」の今

 イリザロフ法はロシアのオリンピック選手に対する治療で有名になり、日本には30年以上前に伝わった。首都圏の整形外科医が言う。

「もともと事故で失ったり、がんなどの手術で骨を切断したり、事故や病気で変形した骨を元通りにするために行われる手術法です。低身長症の人の治療としても行われますが、日本で美容的に“背を伸ばす手術”とうたって患者さんを集めている医療機関は限られています。この方法で安全に伸ばせる身長は5センチくらいともいわれ、それ以上伸ばすと神経麻痺が起きたり、運動機能が戻らなくなる可能性もあるといわれています」

 イリザロフ法での治療後は骨折と同じように3年くらいは運動能力が落ちるといわれる。しかも、治療中は大きな創外固定器をつけ、ワイヤが体を貫通するため、神経を傷つけたり、感染症のリスクがある。

「この治療法は熟練した腕がなければ難しい。限られた医療機関でしか行われていないのはそのためです」(前出の整形外科医)

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