理由は、甲状腺が体腔内にある臓器ではないため、内視鏡などの器具を操作するスペースをつくらなくてはいけないから。
しかも、そのスペースは狭く、鉗子の自由度が不十分。隣接する頚動静脈や反回神経などを損傷したり、リンパ節郭清も十分に行えないリスクがある。その問題点を克服するのがロボット手術だ。では、「首に傷が残らない」とはどういうことなのか。
「ロボット手術では、脇の下に縦1カ所、5センチくらい切開するだけです。そこから皮下をはがして甲状腺まで到達させます。そこを器具を使い筋肉などの組織を持ち上げ、スペースをつくります。あとはダヴィンチで手術するだけです。術後に残る傷は脇の下なので見えません」
切開部から挿入するロボットのアームは、内視鏡と鉗子の4本。コンピューター制御された多自由度鉗子と、内視鏡画像は倍率10倍以上の3Dハイビジョンで立体視できるので、普通の内視鏡下手術ではできない繊細で高度な操作が行えるという。
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