数字が語る医療の真実

「かっけ」は日本海軍が行った世界初の臨床実験だった

 さらに問題が起こります。日本から持ち込んだ肉の缶詰が腐敗し使い物にならないというのです。ニュージーランドで調達した生肉もすぐに腐敗してしまいます。ただ、野菜、食肉、果物の缶詰、コンデンスミルク、砂糖などは十分補給でき、航海を続けます。

 筑波は7カ月後、ハワイに到着します。龍驤はこの間に150人のかっけ患者を出したのですが、筑波では、「カッケカンジャ ヒトリモナシ」との報告が高木のもとに届けられます。

 150人の患者が0になる、実験は大成功というわけです。しかし、事態はそう簡単には進みませんでした。この結果に対し、多くの反論が寄せられたのです。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)、「逆説の長寿力21ヵ条 ―幸せな最期の迎え方」(さくら舎)ほか。