明細書が語る日本の医療

胆のうがん手術は千葉大と神戸大 胆管がん手術は名古屋大

胆のう・胆管がん手術の多い病院(C)日刊ゲンダイ

 胆管がんの手術では、胆管の一部が膵頭部の内側を通っているため、これの切除も同時に行います。胆のうがんの場合も、がんが膵頭部に浸潤している場合はやはり同時に切除を行います。さらに肝臓への転移・浸潤が認められれば、そちらも切除します。肝臓は大きく4つの区域に分かれていますが、DPCではそのうちの2区域以上の切除(肝臓の半分以上を切除する大手術)を伴うものを別途集計しているのです。

 どちらの手術も名古屋大がトップに立っています。とくに膵頭部切除を伴う手術では、2位以下を大きく引き離しています。胆のう・胆管がんの手術を望むなら、まず名古屋大が第一の選択肢ということでしょうか。

 2位以下のグループには国立がん研究センター中央病院、がん研究会有明病院、静岡がんセンターなど、いつもお馴染みの病院が名を連ねています。また、北大、弘前大(青森県)、東北大がランクインしています。名古屋大を除けば、上位を東日本・北日本の病院が独占しています。

 一方、大規模な肝切除を伴う手術については、<表>の4病院しかデータがありません。こちらも名古屋大以外は関東以北で占められています。胆のう・胆管がん手術は、東高西低ということがいえそうです。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。