前回も取り上げましたが、パーキンソン病治療薬と食事の関係について少し詳しくお話しします。
パーキンソン病は、ドーパミンという脳内の神経伝達物質が減ることによって、安静時振戦や姿勢保持障害といった特徴的な症状を示す病気です。加齢以外の危険因子はまだあまり分かっておらず、治療の中心は薬によるドーパミンの補充になります。「レボドパ製剤」という薬が、脳内でドーパミンに変化することで効果を発揮します。
ただ、食品の中にはレボドパの効果を強めてしまうものや、逆に弱めてしまうものがあります。
レボドパを多く含む食品として、ソラマメ、パイナップル、八升豆(ムクナ豆)などが知られています。投薬治療中にこれらの食品を取りすぎると、レボドパの効果が強くなり過ぎてしまうので注意が必要です。
逆に、レボドパの分解を促進する成分として知られているのが「ビタミンB6」(ピリドキシン)です。脱炭酸酵素というレボドパを分解する酵素の働きを活性化するため、レボドパが減少して効果が弱まってしまいます。
ビタミンB6は、アボカドやレバーに多く含まれています。最近ではアボカドも一般的になり、サラダやハンバーガーなどに使われているのをよく目にします。また、鉄分摂取のために意識してレバーを食べるようにしているという方もいらっしゃるでしょう。
健常者では問題ありませんが、パーキンソン病の治療を行っている方は要注意です。パーキンソン病は、ご家族が食事や薬の管理をしているケースも多く見られます。
本人だけでなく、周囲も薬と食事の関係を正しく理解することで、治療が適正化されます。
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