麻央さん乳がん闘病に学ぶ 検診で押さえるべきポイント

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 2014年10月に乳がんの告知を受け、闘病中だった市川海老蔵の妻・小林麻央さんが、22日夜に亡くなった。34歳だった。乳がんをはじめ、がんの治療は年々進歩しているが、それでも予後が厳しい場合も少なくない。やはり、重要なのは早期発見。何を知っておくべきか?

 乳がん検診で国が推奨するのは「マンモグラフィー」(乳房エックス線撮影/以下「マンモ」)だ。厚労省はガイドラインで「40歳以上の女性は原則としてマンモを2年に1度受ける」と提言している。それに該当している場合は、自治体によっては補助が出る。

■マンモだけでは不十分

 ところが、多くの専門医が指摘するのは、「『マンモを受けていれば安全』と考えている人が多いが、それは誤解。マンモだけでは、乳がんを見落としてしまう可能性がある」ということだ。

 では、どうすればいいのか? 

 理想は「マンモ」と「超音波検査」の両方を受けること。諸事情で毎年、両方を受けることが難しい場合は、年齢にもよるが、超音波を毎年受け、2年に1回、マンモを加える。

 乳がんには、「しこり(腫瘍)で発見されるもの」や「石灰化で発見されるもの」などがあり、超音波は腫瘍に起因する乳がんの発見に優れ、マンモは石灰化に起因する乳がんの発見に優れている。そのため、両方の検査が必要なのだ。

「腫瘍からの乳がんが圧倒的に多いですが、石灰化の乳がんのリスクもある以上、乳がんを見落とさないためには、どちらも受けた方がよい」(濱岡ブレストクリニック院長の濱岡剛医師)

■検診を受けたら「乳腺濃度」も確認

 マンモと超音波の両方を受けることが理想的なのは、近年、注目を集めている「乳腺濃度」とも関係がある。

 乳がんは、乳房の中の「乳腺」という組織にできる。乳腺は、乳汁を分泌する器官と乳汁が通る器官で構成されていて、その密度から「高濃度」「不均一高濃度」「乳腺散在」「脂肪性」に分かれる。一般的に、若い間は濃度が高い「高濃度」で30代後半以降、徐々に脂肪に変わる。ところが、日本人は高濃度や不均一高濃度の乳腺が多く、濱岡医師によれば「10人いれば半数以上」という比率だ。年齢を重ねても高濃度の人もいる。

「高濃度や不均一高濃度の場合、マンモでは、進行がんであっても見つかりにくく、超音波検査が必要になります」(濱岡医師)

 乳腺専門医であれば、マンモの写真から「高濃度」や「不均一高濃度」がわかる。自分の乳腺濃度を指摘してもらい、乳腺濃度によっては超音波を追加する選択肢を考えておいた方がいい。

 乳がん検診の場合、その報告書には「腫瘍」「石灰化」「随伴するその他の所見(局所的非対称性陰影や構築の乱れなど)」といった項目はあるが、乳腺濃度について記述する箇所はない。

 そのため、自分から「乳腺濃度はどうでしたか?」と医師に尋ねなければ、情報がもたらされない可能性がある。

 せっかく乳がん検診を受けるのだから、肝心な情報を知らされないまま終わることは避けたい。

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