受診までの「応急処置」

【足首の捻挫】直後にテーピングをしてはいけない

まずは安静に
まずは安静に(C)日刊ゲンダイ

「捻挫」とは、関節周囲の靱帯や関節包などの軟部組織に起こる損傷の総称。一般的には、足首を内側にひねり、足首の外くるぶしの前にある「前距腓(ぜんきょひ)靱帯」の損傷がほとんどだ。外傷直後、どんな応急処置をしたらいいのか。埼玉協同病院・整形外科(川口市)の仁平高太郎部長に聞いた。

「捻挫、肉離れ、骨折などの急激な外傷の応急処置の基本は世界共通で、『RICE処置』です。『安静』『冷却』『圧迫』『挙上(きょじょう)』の4つの処置(英単語)の頭文字を並べたもので、こう呼ばれています」

 まずは「安静(レスト)」。添え木や包帯などで損傷部位を固定して、極力動かさない。次は「冷却(アイス)」。ビニール袋やアイスバッグに氷を入れて、患部を冷やす。患部の感覚がなくなったら外し、また痛くなったら冷やすを繰り返す。冷却で痛みが軽くなったら、「圧迫(コンプレッション)」だ。

「やり方は、スポンジやテーピングパッド、綿など、何か軟らかい素材を患部に当て、その上から包帯で軽く圧迫気味に固定します。テーピングで固定するのでもいいのですが、圧迫の加減が難しく、強く押さえ過ぎると逆に腫れがひどくなります。慣れていない人は、ケガをしたときにすぐテーピングをするのは避けた方がいいでしょう」

 その後の「挙上(エレベーション)」は、体を休めているときは捻挫した足を心臓より高く上げることを意味している。患部の血流を増やさないためだ。この4つの処置は、どれも患部の安静を保ち、腫れを防ぐことを目的としているという。

 では、どの程度の捻挫であれば、早く受診するべきなのか。捻挫の程度は、大きく「靱帯が伸びる(1度)」「靱帯が部分的に切れる(2度)」「靱帯が完全に切れる(3度)」に分けられる。

「3度では、足首がパンパンに腫れて紫色(内出血)になり、足を着くと強烈な痛みがあります。軽くひねった程度で、少し痛みがあるが歩けるようなら、あまり心配はないでしょう。いずれにしても、足を着いて痛みが強ければ、すぐに受診するべきです。放置して靱帯が伸びたまま治ってしまうと、捻挫を繰り返しやすくなり、足首の変形の原因になります」

 スポーツ選手では3度の場合、選手生命に関わるので、ギプスで固定をしたり、手術が必要になる場合があるという。また、捻挫だと思っていても、骨折の可能性もある。骨折していて骨がズレてしまうと、手術が必要になるので十分注意しよう。