独白 愉快な“病人”たち

仕事への影響不安も 道端アンジェリカ「乾癬」告白の決意

ブログには多くの人から激励の書き込みが
ブログには多くの人から激励の書き込みが(C)日刊ゲンダイ

 今年の5月、「スーパーフードを食べているのに肌が汚い」とネット上に書き込まれ、とても腹が立って「乾癬」という病気であることをSNSに公表しました。所属事務所の了解も得ないで(笑い)。スマホで文字を打ちながら、「道端アンジェリカのイメージはどうなるかな」とは思いました。でも、そう思っても書かずにはいられませんでした。

 皮膚疾患のひとつ、乾癬だと診断されたのは今年の1月ですが、異変は5~6年前から始まっていました。最初は膝裏や肘にできた小さな湿疹。昔ながらの軟こうを塗って、治ったり再発したりを繰り返していたんです。

 そのうち特に肘がひどくなってきて、100円玉ぐらいの大きさだったものが肘を覆うように広がって……。症状は赤く盛り上がって真ん中が乾燥して白い感じ。痛みやかゆみは特にありません。皮膚科を受診したら「肌荒れ」と診断され、肌荒れ用のステロイドを処方されました。

 でも、それが効かなかったので、自分で「赤い」「皮めくれ」などのワードでネット検索してみました。すると「脂漏性皮膚炎」という病名があり、「これかも」と思って、それに効きそうな薬を薬局で買って試してみました。でも、やっぱりダメ。

■メークさんにも言えなかった

 乾癬という病気を知ったのは、その頃に見ていた海外ドラマがきっかけでした。出演していた女優さんの脚に自分と同じような赤い湿疹があって、彼女が乾癬だと公表していたのです。調べると欧米では割とポピュラーなのですが、日本では珍しい病気でした。

 周りに相談したら東洋医学を勧められて、乾癬によく効くという自然治療法を始めました。私の場合は、主にひまし油(植物油の一種)を染み込ませたA4サイズほどの湿布を肝臓に毎日1時間当てたり、おいしくないハーブティーを飲んだりするというものです。専用のコットンを購入して、毎回、ベトベトのひまし油を塗って湿布を作って、寝転んでお腹に当てて……。終わったら、重曹を溶かした水でベトベトをふきとります。

 不規則な生活の中でこの作業を毎日続けるのは結構大変でした。それでも頑張ってやり続けたら、1カ月で症状が悪化してしまったのです。個人差があるのでいろいろだと思いますが、実はその状態は、悪いものが出てそこから良くなる「好転反応」。でも仕事上、「これ以上は無理」と断念しました。

 もう家から出たくなかったですし、仕事にも行きたくない心境でした。メークさんには「ちょっと荒れちゃって」とごまかしていましたけど、髪の生え際が乾燥して皮がめくれたりして……。鏡なんて見たくもなかったし、お風呂は電気を消して入っていました。

 転機になったのは昨年の秋、足首の骨折で1カ月入院したことです。動けなかったストレスが影響したのか、退院後に湿疹がお腹から背中から全身にぶわぁーっと出てきたんです。去年の年末が一番ひどかった。でも、そこまでひどくなったことが大学病院を受診するきっかけになりました。乾癬外来がある大学病院を調べて受診したら、検査するまでもなく乾癬と診断されました。今は乾癬専門病院に通院していて、最新の薬を注射しています。

 初めは病院に行かないと打てない1本7万円(保険適用前の価格)もする注射を月2回打ちましたが、ごく最近、もう少しお安めの自己注射できる薬にして、4週間に1回打つようになりました。本当は塗り薬も並行してあるんですけど、私は自分の意思で、あえて今は注射だけで、その効果を試しているところです。

■「もっと広くこの病気を知ってもらいたい」

 怒りに震えてブログにアップしてから、ふと「水着や化粧品のお仕事が減るんじゃないか?」と気づいて、すぐ事務所に報告と謝罪をしました。すると、社長さんは「公表してよかったと思う」と言ってくれたんです。さらに、ブログには同じような皮膚疾患に悩む人から激励の書き込みがいっぱいあって、ありがたかったですね。脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎だと思っている人でも、実は乾癬だという可能性もあります。だから、もっと広くこの病気を知ってもらうためにこうして積極的にお話しさせていただいているんです。

 治療によって長期間症状が出なくなる人もいると聞きますが、完治はしないといわれています。私もまだ背中に小さな白いぽつぽつがありますし、ひどかった湿疹の痕はいまだに消えません。

 先生から、脂っこいものを控えたり、ストレスコントロールが大事だと言われたので、今は大好きなジョギングとボクササイズを週5回ペースでやっています。ただ、骨折前は週10回でしたから、それでも半分なんですけどね(笑い)。

▽みちばた・あんじぇりか 1985年、福井県生まれ。「道端3姉妹」の三女(長女カレン、次女ジェシカ)。ショーや広告で活躍するほか、テレビのバラエティー番組やラジオにも数多く出演。最近はジュエリーデザイナーとしても注目されている。

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