明細書が語る日本の医療

女性の主要がん手術 膵臓がんは新規患者と死亡者がほぼ同数

(C)日刊ゲンダイ

 国立がん研究センターの予測によれば、2016年度の新規患者数(女性)は、乳房、大腸、肺、胃、子宮、膵臓の順になっています。2016年度の確定値はまだ公表されていませんが、手に入る最新の患者数(2012年度)、死亡数(2015年度)、手術件数(2014年度)を〈表〉にまとめました。新規患者数は上皮内がんを除いたもの(浸潤がん)と、上皮内がんを含めたもの。また手術件数は開腹術や腹腔鏡によるものなど、大規模なものに限定しました。大腸や胃の内視鏡手術、子宮頚がんの円錐手術やレーザー照射術などは除いています。

 2通りの新規患者数から、上皮内がんは子宮がん約2万1000人(大半は子宮頚がん)、大腸がん約1万1000人、乳がん約9000人であることが分かります。

 子宮頚がんの上皮内がんの多くは、特殊な内視鏡を使った円錐切除が多く実施されています。再発率が高く、2回以上受ける患者も少なくありません。子宮頚部の上皮内がんの多くは、放っておけば自然消滅するともいわれていますが、現状では見つけ次第切除します。レーザー照射で上皮内がんを焼き殺す治療も最近では増えつつあります。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。