役に立つオモシロ医学論文

毎日朝食を取らない人は心臓病が多い

(C)日刊ゲンダイ

 毎朝、しっかり朝食を食べることは健康的なイメージがありますが、ギリギリまで寝るために朝食抜きが習慣になっている人もいるはずです。過去には、朝食をしっかり取らない食習慣が肥満や生活習慣病の発症リスク増加につながるという研究報告もありました。とはいえ、こうした食習慣が心臓病や脳卒中の発症リスクを高めるかどうかについては、あまりよく分かっていませんでした。

 そんな中、日本人における朝食の摂取頻度と心臓病や脳卒中発症の関連を検討した観察研究の論文が、米国の心臓病協会が発行する脳卒中専門誌(2016年2月号)に掲載されました。

 この研究では、45~74歳で心臓病のない8万2772人(男性3万8676人)が対象となりました。被験者は、朝食の摂取頻度に応じて「0~2日/週」「3~4日/週」「5~6日/週」「毎日」の4つのグループに分けられています。なお、結果に影響を与えうる「年齢」「性別」「飲酒状況」「喫煙状況」「睡眠時間」などの因子で、統計的に補正を行い解析しています。

 研究の結果、「毎日」朝食を食べる人に比べて、「週に0~2回」の人では心臓病の発症が14%、脳卒中の発症が18%、統計学的にも有意に増加しました。また、脳卒中の中でも特に脳出血では36%のリスク増加が示されています。

 朝食を毎日食べる人はそれなりに健康意識が高く、潜在的に病気を発症しにくい人たちだった可能性はあります。とはいえ、冒頭述べたように朝食を食べない食習慣が、生活習慣病の発症リスクを増加させるという報告はすでにいくつか報告されており、一日の中でバランスよく食事を摂取することが健康の秘訣かもしれません。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。