数字が語る医療の真実

まっとうな批判による健全な議論で「かっけ」撲滅が停滞

 事実これらの反論に対して、「タンパク質不足仮説」を採る限り、正当な反論は不可能です。

 こうした“まっとうな批判”により、かっけの撲滅はなかなか進みませんでした。議論が健全であったために、むしろ問題の解決が先送りされたわけです。

 科学的な態度と問題解決の乖離、この問題はいまだに解決されない現代的な問いの一つです。科学的な態度の徹底は必ずしも良い結果を生むことを保証しないのです。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)、「逆説の長寿力21ヵ条 ―幸せな最期の迎え方」(さくら舎)ほか。