「EGFR」と「遺伝子変異」に注目が 大腸がん治療最前線

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 次に注目されたのが「遺伝子変異」だ。EGFRからがん細胞に増殖や転移などを指示する信号が送られるが、この伝達を担うタンパク質の遺伝子の変異(RAS遺伝子変異)が50%の割合で見られることがわかったのだ。

 研究の結果、「RAS遺伝子変異があると抗EGFR抗体がまったく効かない」「RAS遺伝子変異がないと抗EGFR抗体でがん悪化リスクが減少する」ことが判明。ほかの遺伝子でも同じ結果だった。

 つまり、国内における大腸がんの治療最前線では、切除不能の進行・再発がんに対し、①がん組織のタンパク質や遺伝子などを調べる(バイオマーカー)②抗がん剤の効果や副作用を予測して高い効果を発揮する薬を選ぶ――となっている。

 また、RAS遺伝子に加え、DNAミスマッチ修復機能欠損なども重要なバイオマーカーであることが判明している。

「今後は、遺伝子変異で細かく分かれ、それに対して治療方針を立てていくようになる。欧米と比較して、日本はバイオマーカーの臨床への導入が遅れているが、新しく出た遺伝子関連検査のガイダンスがそのギャップを埋めていくでしょう」

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