クスリと正しく付き合う

“癒やしのハーブ”が深刻な相互作用を起こすケースもある

 例えば、免疫抑制剤の「シクロスポリン」、心臓病の薬である「ジゴキシン」、血栓予防の「ワルファリン」、抗てんかん薬の「フェニトイン」や「フェノバルビタール」などが該当します。これらの薬が相互作用によって普段より効果が弱まっては一大事です。また、同じく相互作用のある経口避妊薬やある種の抗がん剤は、十分な効果が得られなくなると治療上問題があります。

 逆に、うつ病治療用の抗うつ薬の中には、セントジョーンズワートとの相互作用で効果が強く出て、副作用の発現率が高まり、重篤化してしまう可能性があるものも知られています。

 セントジョーンズワートはあくまでサプリメントとして摂取されるもので、一般的に食品に入っているようなものではありません。しかし、薬との併用は要注意なので、病院にかかった際には使用の旨を必ず伝えましょう。

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神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。