独白 愉快な“病人”たち

卵巣と子宮を摘出…やなせななさん手術決意に医師の信念

シンガー・ソングライターのやなせななさん(C)日刊ゲンダイ

「のんきにほっつき歩いている場合やない! あんた、がんやねん」

 家族からそう告げられたのは、今から12年前、30歳の冬でした。その日は夜の7時ごろまで普通に買い物を楽しんでいたのですが、母から電話があって「こんな時間まで何やってるん?」と怒られました。慌てて帰宅したら、そう言われたのです。母と姉はずっと私に言えなかったようで、その夜、初めて私の前で涙を見せました。

 その1年前ぐらいから、たくさん食べているのに痩せてきて「おかしいな」とは思っていたんです。でも、デビューして人前に出る身でもあり、「ダイエット要らずでちょうどいいわ」ぐらいにしか考えていませんでした。

■不正出血が1カ月間も止まらない

 春になって不正出血が始まっても、「ちょっとしたホルモンバランスの乱れかな」と思って特に気にしませんでした。一応、受診した町の病院でも「異常はない」と帰されたので、そのまま放置していたんです。でも、そのときに検査したのは「子宮頚がん」だけでした。それが、一般的なんだと思います。

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