夏レジャーは要注意 “涼しげ中年女性”が熱中症になる理由

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 毎年熱中症で搬送されるのは、半数が高齢者。18~64歳の成人は30%半ばだが、成人はほとんどが男性。女性より男性の方が屋外での作業が多いためで、熱中症で倒れる成人女性は少ないといわれている。

 ところが、夏のレジャーでは、そんな“通説”が覆され、30代、40代の女性が熱中症に苦しむケースが少なくない。どんなときか。

 記者は昨年8月、東京・お台場で仲間15人とバーベキュー。当日の最高気温は34度。午前11時ごろから火おこしなどの準備をして楽しい食事がスタートした。暑さは厳しかったが、スペースには屋根があり、強い日差しは避けられたが、そのうち30代の女性2人がめまいや頭痛を訴えて熱中症に。どちらもほぼ下戸で、食べるのが専門。酒は乾杯のビールを紙コップ1杯程度で、ほとんど飲んでいなかった。なぜか。

 東京都健康長寿医療センター顧問の桑島巌氏が言う。

「そういう女性は概して運動嫌いで、日焼けを嫌う傾向があり、熱さへの適性が低い。ふだんから活動性に乏しいので、汗をかきにくくなっています。そんな体質が災いしたのでしょう。強い日差しや熱源があっても、十分に汗をかけないと、体温が下がりません。ビールを紙コップ1杯とはいえ、アルコールは体を脱水させ、利尿作用もある。汗をかかずとも、体の水分が失われていた可能性があります。つまり、日焼けを嫌う女性は、夏のレジャーで熱中症になりやすいのです」

 発症した場合の応急処置は涼しい場所で体を冷やすことだが、ならないようにケアする方が大切だろう。男の気配りが欠かせない。

「女性は、トイレを気にして水分摂取を避けたがります。屋外ではなおさらで、余計に脱水が進みやすい。そういう人にきちんと水分を取らせるには、近くのトイレの場所を把握して、トイレ不安を解消させること。その上で、水分摂取をすすめるのです」

 記者の仲間はその後、3日ほどめまいに苦しんだという。汗をかかず涼しげに見える女性ほど意外と危ないのだ。海や川など水辺であっても、そんな女性は水に入りたがらないので要注意だという。

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