夏に負けない

血糖値が気になる人 清涼飲料水のがぶ飲みは御法度

スポーツドリンクは不必要
スポーツドリンクは不必要(C)日刊ゲンダイ

 夏は熱中症予防のために水分補給が必要だ。だからといって清涼飲料水を多量に飲むのはやめた方がいい。糖尿病の人は重症化するばかりか、その予備群は本格的な糖尿病を発症することになりかねない。糖尿病専門医で「AGE牧田クリニック」(東京・銀座)の牧田善二院長に聞いた。

「多くの清涼飲料水は500ミリリットル当たり50グラム以上の糖分が含まれています。これは通常のスティックシュガー約18本分です。それを毎日何本も飲み続けていれば、血糖値が急上昇するのは当たり前です」

 実際、清涼飲料水を大量に飲み続けることで起きる急性糖尿病を「ペットボトル症候群」と言う。かつては20~30代が多かったが、最近は40代以上が増えているという。

「清涼飲料水に含まれる糖分はごはんやパンの糖分と違って、消化が早く体に吸収されやすいため血糖値が急速に上がります。すると、のどが異常に渇いてさらに清涼飲料水をガブ飲みしてしまいます。その結果、本格的な糖尿病になる人も多いのです」

 ならば「糖質ゼロ」「ノンシュガー」「無糖」と表示された飲み物なら大丈夫と思う人もいるかもしれない。しかし、それは間違いだ。

「これらの表示の飲み物は100ミリリットル当たり0.5グラム未満なら表示可能で、『糖質オフ』『糖分控えめ』『低糖』は同2.5グラム以下なら表示できます。また、人工甘味料ならいいかというとそうとはいえません」

 英国医師会誌(2015年7月21日号)に掲載された、「砂糖で甘味をつけた飲料」「人工甘味料で甘味をつけた飲料」「100%果物ジュース」と、2型糖尿病発症の関連を調べた研究によると、飲料250ミリリットル当たりの糖尿病リスクは砂糖で甘味を付けた飲料で13%、人工甘味料で甘味をつけた飲料で8%、果物ジュースで7%、統計学的にも有意に上昇したという。この研究はそれまでに発表された17の研究を統合して解析したメタ分析と呼ばれる研究だ。

 ならば、人の体液の成分に近いスポーツドリンクはどうか?

「スポーツドリンクの中には500ミリリットルの中に33.5グラムの糖分が含まれているものがあります。成分表には、糖質でなく『炭水化物』と書かれていますが、これはどちらも同じこと。それを知らない人は別物と考えて安心してしまいますが、注意が必要です」

 あくまでも、スポーツドリンクは激しい運動で筋肉を酷使したときに飲むもの。中高年が仕事の合間に飲むのは、水がいい。

「お茶もカフェインが入っていて利尿作用があるので、飲み過ぎるとおしっこが近くなってしまいます」