遺伝子に注目で成果 手術不可の進行・再発肺がんに新兵器

肺がんはヘビースモーカーや中高年のイメージだが…(C)日刊ゲンダイ

 つまり、今回の薬がかなりの人数の患者を救うことになるのだ。

■奏効率は70%

 この遺伝子変異の進行がん患者127人(うち日本人26人)にクリゾチニブを1日2回投与した国際共同第2相試験における奏効率は、69・3%。ほとんどの患者に腫瘍の縮小効果が得られた。さらに薬を投与後、腫瘍が進行せずに患者が生存した期間を示す無増悪生存期間の中央値は、13.4カ月だった。

「2007年の進行肺がんの4種類の化学療法の無作為比較試験では、4種類ともほとんど差が出ず、奏効率30%、無増悪生存期間は5~6カ月でした」(光冨医師)

 10年前の結果と現在を比べると、治療成績が大きく進歩したことがわかる。

 48歳で肺がんから肝臓へ転移していた患者は、クリゾチニブで肺がんが縮小し、肝臓転移がわからなくなった。また、後藤医師が海外で出会った患者は、ROS1融合遺伝子陽性で、クリゾチニブ投与で4年半経った今も元気だ。

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