夏に負けない

血糖値が気になる人 イライラや疲れを熱中症のせいにしない

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 普段、糖尿病の薬を飲んでいる人は夏場の低血糖が命取りになることがある。「大量の汗」「動悸」「めまい」「倦怠感」といった低血糖の症状は、軽度から重度まで3段階ある熱中症のそれと似通っている。夏場にこうした症状が出ると、熱中症と勘違いして処置が遅れる糖尿病患者も少なくないのだ。糖尿病専門医で「AGE牧田クリニック」(東京・銀座)の牧田善二院長は言う。

「炎天下で野外活動をしたり、窓を閉め切った部屋にいるなどして具合が悪くなり、『熱中症だから涼しいところで休めば回復するだろう』と思ってそのまま放置して様子を見ていたところ、深刻な状態になる糖尿病患者さんも少なくありません」

■食事間隔は規則正しく

 実際、暑さでだるさやめまいを感じた糖尿病患者が、夜になっても食欲がないからとほとんど食事をせずに薬を飲んでそのまま寝たところ、夜間低血糖を起こして早朝に昏睡状態で発見されたケースもある。

 低血糖を起こすと、ブドウ糖をエネルギーにしている脳の働きに支障を来し、意識を失って転倒したり、運転中に事故を起こすこともある。また、血糖値を上げようとして交感神経が活発となり、心臓に栄養を送っている冠動脈が収縮して心筋梗塞や致死性の不整脈を招くこともわかっている。

 糖尿病で投薬治療をしている人は低血糖を起こしやすい。低血糖を起こすと熱中症と同じような症状が表れることを知っておく必要がある。

「食事と食事の間隔が長くなったり、食事の量が少なかったり、いつもより体を動かしたときは注意が必要です。また、糖尿病患者さんが風邪をひいたり、お腹を壊すなどの別の病気になって血糖値が変動しやすくなる『シックデー』にも注意してください」

 では、両者の違いはどうすればわかるのか?

「症状が軽い場合は、ひとまず糖分が含まれた飲み物を飲んで、症状が改善するかどうかを確認し、医師に相談することです」