クスリと正しく付き合う

薬を正しく使うには「正しい止め時」を知ることが大切

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 治療上、どうしても必要な薬があるのは確かですが、一方で必要以上に薬が用いられている状況があるのもまた事実です。医療者として、すべてやめてしまえとは言えませんし、患者さんに誤った先入観を植え付けるのは本意ではありません。薬を適正に無駄なく使ってもらうために、「正しい薬のやめ時」を知っていただきたいのです。「やめ時を知る」ということは、「どこまで継続するかを知る」ということです。患者さんにとって「必要な薬の見極め」の助けとなればよいと考えています。

 ものすごくシンプルに表現するならば、健康な状態と比べて、体内で足りていない物質があるなら補う薬を使う。多すぎるなら減らす薬を使う。健康な状態かそれに近くなったら薬をやめる。ただそれだけのことなのです。次回から、正しい薬のやめ時を具体的に紹介していきます。

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神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。